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ハナ差の接戦を制して重賞連勝
姉妹女王には惜しくも届かず
グランダム・ジャパン(GDJ)2歳シーズンの最終戦であり、またNARグランプリ2歳最優秀牝馬のタイトルの行方にも少なからず影響を与えるであろう注目の東京2歳優駿牝馬。
他地区からの遠征馬は3頭だが、地元南関東所属馬には転入して2戦以下という馬が6頭もいて人気は割れ加減。単勝3.5倍で1番人気となったのは、GDJのポイントで目下単独トップのジュエルクイーン。前走ラブミーチャン記念(笠松)を制したまでは北海道・田中正二厩舎の所属だったが、そのまま名古屋・川西毅厩舎に移籍しての今回の遠征。差なく3.7倍は、前走でGDJ2歳シーズンのローレル賞を制した南関東生え抜きのララベル。ローレル賞でクビ差2着だったゼッタイリョウイキ、北海道時代に重賞2勝を挙げているステファニーランまでが単勝一桁台で続いた。
ジュエルクイーンは4着以内なら他馬の着順に関係なく優勝が決まる。対してララベルは、仮にここを勝っても、ジュエルクイーンがゴールして着外の2ポイント以上を獲得した時点でタイトルには手が届かないという状況。
レースは、3番手を追走したララベルが3〜4コーナーで先頭に立って直線抜け出し、内から迫ったティーズアライズが鼻面を並べたところがゴール。両鞍上ともどちらが勝ったのかはっきりとはわからない様子だった。果たして写真判定の末、検量室内から聞こえてきた歓喜の叫びは、真島大輔騎手。ララベルがハナ差先着していた。
一方のジュエルクイーンはスタートでタイミングが合わず中団よりうしろからの追走となり、4コーナーではララベルを射程にとらえる位置まで進出したものの、直線では伸びを欠いて5着。逆転優勝の可能性があったミラクルフラワー、ネガティヴがともに着外だったため、GDJのポイントではジュエルクイーンが逃げ切って2歳女王となった。
ララベルは、前走ローレル賞がクビ差、そして今回がハナ差という接戦を制しての重賞連勝。しかしGDJ2歳シーズンでは惜しくも2位。同じく荒山勝徳調教師が管理している半姉のショコラヴェリーヌは、2011年のGDJ2歳シーズンでは、ローレル賞2着、東京2歳優駿牝馬3着と、このシリーズで勝ち星こそなかったもののポイントトップでGDJ2歳女王となっていた。姉が惜しくも勝てなかった2つの重賞タイトルをララベルが制したことでは喜んでいた荒山調教師だが、姉妹そろっての女王となれなかったことでは悔しそうな表情を見せていた。2015年のララベルは、ひとまず南関東の牝馬クラシックが目標となるとのこと。
さて、GDJ2歳女王となったジュエルクイーンの川西調教師だが、当然このレースには勝つつもりで臨んでいた。それだけに、5着という結果には納得のいかない様子。「ゲートが開くタイミングが……。体調がすごくよかっただけに、あのポジションになっては、切れる脚がないだけに厳しい」とのこと。明けて3歳のシーズンは、中央の芝挑戦を視野に入れていくそうだ。
真島大輔騎手コメント
(ゴールの瞬間)勝ったかはわかりませんでした。16番枠だったのでゲートが開いてみないとわからなかったんですが、馬が行く気になっていたので、すんなり行かせようと思っていて、いいポジションを取ることができました。直線まで我慢して、追い出してからもよく頑張ってくれました。
荒山勝徳調教師コメント
初距離などいろいろなことを克服して、非常に内容の濃い勝利だったと思います。クラシックは、距離という壁があるとは思うんですが、なんとか克服してくれるように馬と相談しながら鍛えていきたいと思います。間隔が詰まるのでユングフラウ賞は使わず、浦和の桜花賞に直行する予定です。
取材・文:斎藤修
写真:宮原政典(いちかんぽ)