第65回 全日本2歳優駿
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3コーナーから勝負に出て押し切る
人馬ともに念願のジーワン初制覇


 爆弾低気圧の影響で全国的に大荒れの天気。川崎競馬場では雪や雨こそ降らなかったものの寒さに震える夜だった。川崎競馬場のスパーキングナイターも今開催までで、年明けからは昼間開催となる。
 全日本2歳優駿JpnIには、これからのダート界を担っていく若駒たちが一堂に会した。最近のダートグレードレースでは地方勢も奮闘しているが、今回は中央勢が上位を独占。優勝したのは3番人気ディアドムスで、高橋裕調教師、三浦皇成騎手にとっても、中央・地方を通じて念願のGI/JpnI初制覇となった。「前回の重賞(北海道2歳優駿JpnIII)を勝たせてもらった時からジーワンを意識できる馬だったので、そういう中で勝てたのはうれしいです」と三浦騎手。
 レースは、ワンダフルラスター、タイセイラビッシュ、タップザット、ラッキープリンスらが先行していき、それらを見る形でディアドムスは進めていった。「流れもよかったし、自分の取りたいポジションで競馬を運べたのが一番よかったと思います。リズム重視の競馬を心掛けました」(三浦騎手)。
 3〜4コーナーではディアドムスが外から一気にポジションを上げていき、先行していた中央勢3頭に襲いかかった。直線の半ほどでディアドムスが先頭に立つと、タップザットも食らいついていたが、そのまま押し切り半馬身差をつけてのゴール。三浦騎手は初JpnI制覇の喜びをガッツポーズで示した。
 「3コーナーから、これで前をとらえられなければ仕方ないというタイミングで追い出せたし、先頭に立った時にはこのまま押し切れる手応えだったので、あとはこの馬の脚を信じて追うだけでした。この馬のセールスポイントは、まだ遊びがある感じでも抜かさせない勝負根性です。次に向けても余裕のあるレースができたと思います」(三浦騎手)。
 なお、川崎競馬場の本馬場はこの開催から砂の全面入れ替えが行われ、砂質(海砂)と砂厚(8.5センチ)はこれまでと一緒だが、産地は青森県六ケ所村から青森県東通村に変更された。それも影響しているのだろう。この開催は初日から時計が非常にかかっており、このレースの勝ち時計は1600メートル1分45秒3(稍重)。中央との交流となった1997年以降もっとも遅い時計で、昨年の優勝馬ハッピースプリント(1分40秒4・稍重)より5秒近くも遅いもの。川崎競馬場は今後も時計がかかる傾向にありそうだ。
 ディアドムスはデビューから2戦は芝を使われていたが、ダートに転向後は高いレベルでの走りが続いている。今後は未定ということだったが、出世レースとしても知られているこの全日本2歳優駿JpnIの勝ち馬として、ダート界においてどんな存在になっていくのだろう。
 一方、地方馬最先着は御神本訓史騎手が手綱を取ったパーティメーカー(浦和・小久保智厩舎)だった。道中は中団後方から追走していき、御神本騎手の手が早々動くシーンも見られたのが、最後には伸びて5着。「(道中は)手応えがないのかなと思ったんですが、まだ余力があって伸びてくれました。このメンバーの中でよく頑張っているし、もっと距離があった方がよさそうですね」(御神本騎手)。デビューした北海道時代には盛岡遠征で芝のジュニアグランプリを優勝したこともある馬なのだが、ひとまず次走は浦和のニューイヤーカップを予定している。その後のことは未定ということだが、どんな路線を進んでいくのか楽しみだ。


三浦皇成騎手コメント
馬も僕も初のジーワン制覇なのでうれしさもありますが、一番はホッとしています。追い切りに跨らせてもらって成長を感じたので、これならという手応えでした。返し馬も雰囲気がよかったのでそれも結果につながりましたね。さらに強い馬と戦っていかなくてはいけないし、人馬ともに成長していきたいです。

高橋裕調教師コメント
前回勝った時に皇成君から馬が緩いという話しを聞いたので、調教方法を工夫して今回を迎えました。初めての川崎競馬場でもうまく対応してくれましたね。門別で1800メートルを勝っているのでそのくらいまではこなしてくれると思います。まだ若馬なのでこれから鍛錬していって大事に戦っていきたいです。


取材・文:高橋華代子
写真:いちかんぽ(宮原政典・国分智)

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