第31回 プリンセスカップ
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思い切った逃げの手が奏功
直線突き放し4馬身差快勝


 グランダム・ジャパン2歳シーズンも残すところ2戦。水沢のプリンセスカップ出走馬には、すでにポイントを獲得している馬が6頭おり激戦が予想されたが、結果だけを見れば4馬身差。積極策に出たミラクルフラワーの逃げ切り完勝となった。
 ミラクルフラワーは12頭立ての11番枠、その外12番枠にはメンバー中最多の15ポイントを持ったネガティヴが入っていた。2頭は川崎のローレル賞に出走、ネガティヴが逃げ、ミラクルフラワーが追いかける展開となり、ともに最後の直線では後続に差し込まれていた。その結果を踏まえて「思い切った競馬を」と逃げの手に出たのがミラクルフラワーの松井伸也騎手。大外枠のネガティヴは2番手追走となりローレル賞とは逆の並び。どちらも思惑通りの展開のようだったが、流れは意外に落ち着き2コーナーからペースダウン。「自分から息を抜いてリラックスしてくれた」と松井騎手が語ったように、絶妙のペース配分を作り上げていき、4コーナーを回っても余裕十分。直線は後続をさらに突き放しての快勝となった。
 1番人気となったユヅルノオンガエシは前半の行きっ振りがひと息で、吉原寛人騎手が「先行馬の後ろにつけたかった……」と。後方から馬群の外々を回って追い込んできたが3着まで。物見をしたりで、初コースの影響が若干あったのかもしれない。2着パシコペンネッタの菅原俊吏騎手がコースロスなく伸びてきたのとは対照的だった。道中2番手追走のネガティヴは最後の直線を待たずに脚色が悪くなり後退。勝てばグランダム・ジャパン2歳シーズンの首位に並ぶ可能性もあったが、7着と意外な大敗で大きなポイント加算とはならなかった。2着パシコペンネッタと4着ティープリーズが、それぞれ5位、4位にポジションを上げ(表彰対象の地方馬のみの順位)、シーズン最終戦の東京2歳優駿牝馬の結果次第では表彰圏内が見えるところまで差を詰めてきている。
 冬の水沢競馬場といえば氷点下にもなろうかという、寒いイメージを持たれる方が多いかと思うが、この3日間は比較的暖かく、冬には珍しい“雨の不良馬場"。高配当の決着も少なくなかったが、齊藤正弘調教師は前日から水沢のレースを観戦して、レースの傾向を観察していたという。また、松井騎手は当日急遽の乗替りだったが、水沢所属馬で2レースに騎乗していた。これらも好結果につながったように思われる。折しも岩手県地方は翌日から雪の予報となっている。もしこのレースの開催が1週間違っておれば、全く違う環境でのレースになっていたかもしれない。
 ミラクルフラワーはこの優勝でグランダム・ジャパンのポイントを16に伸ばし、ネガティヴと並んで2位につけたが、このあとは冬休みに入るとのこと。総合優勝の可能性があるポジションにいるだけに惜しまれるが、1400メートルの距離に照準を合わせ、ここだけを目標にしてきての勝利とも考えられる。結果ワン・ツー・スリーとなった北海道勢だが、いずれも移籍はせず北海道所属のままという。門別競馬場のコース改修で来シーズンは距離のバラエティが増すということであれば、活躍の場が増えてくることは間違いないだろう。


松井伸也騎手コメント
調教師と相談して、思い切った競馬をしようと考えていました。前のレースで騎乗できたのも良かったですね。テンは力み気味だったのですが、向正面で息を抜いてリラックスしてくれたので、これならと思いました。追い切りから調子が良かったし、力をつけているのでやれると思っていました。

齊藤正弘調教師コメント
前走は少し距離が長いと感じていましたし、1400メートルのここはベストの条件。前走はネガティヴを追う形になりましたが、今度は行ければと思っていました。小回りコースの経験豊富なジョッキーなので、上手く乗ってくれました。このあとは冬休みに入って、来年も北海道所属で走る予定です。


取材・文:深田桂一
写真:佐藤到(いちかんぽ)

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