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直線の激戦を外から抜け出す
東眞市厩舎が4連覇達成
今ｼｰｽﾞﾝの2歳戦では､今年1月に3歳戦として創設された牝馬限定の佐賀ﾌﾟﾘﾝｾｽ賞と牡馬限定の佐賀ﾌﾟﾘﾝｽ賞が､ともに8月末に時期を移設して行われ､牝馬はﾀｲﾑｵﾌﾞｳｫｰﾀが､牡馬はｶｼﾉﾏﾗﾄﾞｰﾅが勝利｡その後も両馬が勝ち星を伸ばし､世代をﾘｰﾄﾞする存在となった｡両馬はｼﾘｳｽ特別(10月12日)で初対決となるも､ここが6月のﾃﾞﾋﾞｭｰ戦以来の2戦目だったﾀﾞｲﾘﾝｻﾞﾝが､逃げるｶｼﾉﾏﾗﾄﾞｰﾅをｺﾞｰﾙ前で交わして勝利｡新たなｽﾀｰ候補が誕生し､九州ｼﾞｭﾆｱﾁｬﾝﾋﾟｵﾝを迎えることとなった｡
秋晴れに恵まれたものの､発走時刻の頃には太陽はｽﾀﾝﾄﾞの向こうに隠れ､ｺﾞｰﾙ前が照明に照らされる中､向正面から11頭がｽﾀｰﾄ｡これまで同様にｶｼﾉﾏﾗﾄﾞｰﾅが逃げを打ち､やや離れた3番手にﾀｲﾑｵﾌﾞｳｫｰﾀ､中団にはﾀﾞｲﾘﾝｻﾞﾝと､ｼﾘｳｽ特別上位3頭はそれぞれ前走と同じような位置につけた｡
向正面でもｶｼﾉﾏﾗﾄﾞｰﾅが後続との差を保っていたが､早めに位置取りを上げてきていたｷﾝｸﾞｵﾌﾞｻﾞﾒｲﾝや､2番手追走のｲｯｾｲｲﾁﾀﾞｲが直線入口で先頭をうかがう勢いに｡ﾀﾞｲﾘﾝｻﾞﾝも内から4番手まで進出し､ﾀｲﾑｵﾌﾞｳｫｰﾀは前の争いからは遅れだした｡
直線を向いてｷﾝｸﾞｵﾌﾞｻﾞﾒｲﾝが一歩抜け出し､期間限定騎乗中の兒島真二騎手(名古屋)が佐賀S1重賞初制覇なるかと思われたが､ｺﾞｰﾙ直前でｲｯｾｲｲﾁﾀﾞｲがさらに伸び脚を見せ､ｸﾋﾞ差交わしての勝利となった｡
この勝利で､東眞市調教師は九州ｼﾞｭﾆｱﾁｬﾝﾋﾟｵﾝ4連覇を達成した｡九州ｼﾞｭﾆｱﾁｬﾝﾋﾟｵﾝは同一厩舎の連覇が多く､過去には真島元徳調教師の2連覇が2回(02〜03年と09〜10年)､池田及也調教師の4連覇(92〜95年)や､96年から00年にかけては山田勇調教師と北村欣也騎手のｺﾝﾋﾞによる5連覇があり､その時代時代の佐賀でもっとも勢いのある厩舎が強さを発揮している｡
佐賀では一昨年から､九州ｼﾞｭﾆｱﾁｬﾝﾋﾟｵﾝやJRA認定競走のほとんどを佐賀ﾃﾞﾋﾞｭｰ馬限定戦とし､今年は3歳戦の初期にも限定戦を3競走創設した｡しかし､同じようなﾒﾝﾊﾞｰで戦い続けた結果､全体のﾚﾍﾞﾙｱｯﾌﾟが遅れ､3歳S1重賞6競走のうち､他地区･JRAとの交流戦5競走では佐賀勢は1勝も挙げられなかった｡9月のﾛｰﾀｽｸﾗｳﾝ賞の出走馬の中に､昨年の九州ｼﾞｭﾆｱﾁｬﾝﾋﾟｵﾝの出走馬は9着のﾌﾟﾚﾐｱﾑﾌﾚﾝﾁ1頭だけ｡ﾛｰﾀｽｸﾗｳﾝ賞では8着に終わり､上位3着までを高知の2頭と他地区からの転入馬が独占｡佐賀ﾃﾞﾋﾞｭｰ馬限定路線から3歳S1重賞戦線の活躍馬を送り出すことはできなかった｡
しかし､高額賞金ﾚｰｽを限定戦とした効果が3年目にしてようやく出てきたのだろうか､今年は2歳戦初期の連勝馬の独走を､秋に台頭してきたﾀﾞｲﾘﾝｻﾞﾝやｲｯｾｲｲﾁﾀﾞｲが阻止し､素質馬が揃ってきた感がある｡佐賀ﾃﾞﾋﾞｭｰ馬にとっては､今後の転入馬との対戦が重要になってくるが､ここまでの限定戦で激しい戦いを経験しており､前年以上の戦いを期待してもよさそうだ｡
山口勲騎手ｺﾒﾝﾄ
4ｺｰﾅｰで内から上がってきたｷﾝｸﾞｵﾌﾞｻﾞﾒｲﾝと接触して外に膨れてしまいましたが､それがなければもっと楽に勝っていたでしょうね｡最初の頃はｽﾀｰﾄも出なかったし､まだﾄﾓが甘く､最近やっとまともに調教できるようになってきたくらいなので､もっと強くなってくれると思っています｡
東眞市調教師ｺﾒﾝﾄ
出走した3頭の中ではこの馬に一番期待をかけていました｡相手は真島厩舎の2頭だと思っていたので､前のｶｼﾉﾏﾗﾄﾞｰﾅと後ろのﾀﾞｲﾘﾝｻﾞﾝのどちらに対応すべきか考えていたのですが､番手に入って理想的な流れになりました｡年内はあと1戦する予定です｡
取材･文:上妻輝行
写真:桂伸也(いちかんぽ)
