第14回 フローラルカップ
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錚々たる名牝が過去の優勝馬に名を連ねるフローラルカップ(門別)を、スウェプトオーヴァーボード産駒ステファニーランが差し切って重賞連勝!


 門別競馬場1700mを舞台に行われる「フローラルカップ」は、牝馬の出世レースとして名が高い。近年の優勝馬を振り返ると、2008年優勝のネフェルメモリーは、このレースのあと南関東へ移籍し、「東京2歳優駿牝馬」「桜花賞」「東京プリンセス賞」を3連勝して南関牝馬クラシック二冠を達成した。2009年優勝のオノユウは、次走でダートグレード「エーデルワイス賞」を制覇。2010年優勝のクラーベセクレタは、南関東移籍後に「東京2歳優駿牝馬」「ユングフラウ賞」「京浜盃」「羽田盃」「東京ダービー」を5連勝して世代の頂点に立ち、その年の「クイーン賞」でダートグレード制覇も成し遂げている。2011年以降も、エミーズパラダイス、カイカヨソウ、ノットオーソリティと、のちに南関東牝馬クラシックで主役を張る逸材が制してきており、このフローラルカップのタイトルは、将来の活躍を確約してくれる勲章と言っても過言ではないほどの大きな意味を持つ。

 今年、その重要な一戦にエントリーしてきた牝馬は7頭。2005年以来の少頭数となったが、前走で重賞制覇を成し遂げているステファニーラン(父スウェプトオーヴァーボード)を筆頭に、未来を嘱望される精鋭牝馬が顔を揃えた。

 そのステファニーランを差し置いて、1番人気(2.2倍)に支持されたのはサプライズソング(父ソングオブウインド)。デビューから2戦2勝でリリーカップへもエントリーしていたが、直前に出走を取り消し、仕切り直してここへ臨んできた。2戦目のオープン勝ちが、のちのイノセントカップ3着馬プレミアムトークや、サファイア特別を制したパシコペンネッタらを相手に完勝の内容だったことも、大きな期待を背負う要因となったのだろう。

 差のない2番人気(3.0倍)に、先述のステファニーラン。前走のリリーカップを目の覚めるような末脚で制しているが、過去7戦で1200m以下のレースしか経験していないことが不安視され、唯一の重賞馬ながら2番人気に甘んじたのかもしれない。

 3番人気(3.8倍)は、逆に1700mを3戦連続使われて2着、5着、1着しているフォーティクイン(父フォーティナイナーズサン)。4番人気(7.1倍)に、栄冠賞2着、フルールカップ5着、リリーカップ4着と、重賞で常に好走を見せてきたフィーリンググー(父セイントアレックス)とつづき、ここまでが10倍を切るオッズ。多くの馬が未経験である1700mという距離がキーポイントとなる、そんな雰囲気が漂う戦前の様相だった。

 門別1700mスタート地点はスタンド前。当日は「秋の収穫祭」が門別競馬場で行われており、多くのファンが見守る中で7頭の2歳牝馬がゲートインした。ほぼ一斉のスタートから、コーナーワークを利してサプライズソングがハナを奪う。マドヲアケレバ(父キングヘイロー)、フィーリンググー、ミトノレオ(父ワンダースピード)とつづき、少し出負けしたナナヨンハーバー(父タイムパラドックス)、ステファニーランがその後ろ、1頭離れてフォーティクインが最後方という隊列を保ったまま3コーナーへ差し掛かる。ここでステファニーランが外から徐々に進出を始め、4コーナーでは先行集団を射程圏内に。最後の直線に入り、サプライズソングとフィーリンググーが並んで先頭に躍り出ようとするところ、最後方にいたフォーティクインがポッカリと空いた内ラチ沿いを抜け出して脚を伸ばす。外をまわったステファニーランもこれに並びかけ、直線半ばでは4頭が横一戦に並ぶ激しい叩き合いに。内のフォーティクインが先に抜け出して一目散にゴールを目指したが、それを計ったようにステファニーランが大外から差し切り、半馬身の差をつけて先頭でゴールイン。初距離の不安を一切感じさせず、さすがは重賞ウイナーという貫禄のレース内容でフローラルカップのタイトルを手中にした。

 ステファニーランは、これで重賞2連勝を含む4連勝。松本調教師と宮崎騎手が「すごい成長力」と口を揃えるように、まだまだ上積みがありそうで期待が膨らむ。まずは10月16日のダートグレード「エーデルワイス賞」で、堂々の主役としてJRA勢を迎え撃ってくれることだろう。また、過去の当レース歴代優勝馬たちと肩を並べるような名牝への道を、順調に駆け上がっていってほしい。


宮崎光行騎手コメント
一気に距離が伸びましたが、折り合いのつく馬なので心配はしていませんでした。もまれずにレースを運べる外枠だったのも良かったと思います。調教で乗っていても馬がすごく成長しているのを感じており、好走できる自信はありました。1戦ごとに強くなっていますが、まだまだ上積みがあると思うので、今後のレースも楽しみです。

松本隆宏調教師コメント
初距離なので少し不安もありましたが、ジョッキーがうまく折り合いをつけて乗ってくれましたね。ゴール前は内に1頭いたので届くかな?と一瞬焦りましたが、よく差し切ってくれました。次走はエーデルワイス賞に行きたいと思っていますが、まだ対戦したことのない中央馬が相手となりますので、しっかり仕上げて臨みたいと思います。


文:浜近英史(うまレター)
写真:中地広大(うまレター)

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