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新設された2歳牝馬の重賞フルールカップ(門別)を、コパノフウジン産駒コパノハートが8馬身差の圧勝!
今年、記念すべき第1回を迎えた「フルールカップ(門別1000m)」。“フルール”とはフランス語で“花”を意味する。10月16日のダートグレード「エーデルワイス賞(Jpn3)」を頂点とするホッカイドウ競馬の2歳牝馬路線を、さらに充実する目的で新設された重賞だ。
また当日の門別競馬場は「シュエット・ジュマン・フェスティバル」の最終日で女性ファンの姿も目立ち、1つ前のレースには今年から牝馬限定のダートグレードとして生まれ変わった「ブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)」も行われたとあって、華やかさと熱気が同居するような雰囲気の中で、2012年生まれの精鋭2歳牝馬9頭がパドックに姿を現した。
混戦模様の中、2.9倍の1番人気に支持されたのは、前走の2歳オープンを制し、3戦2勝でここへ駒を進めてきたドンローズ(父プリサイスエンド)。3.6倍と差のない2番人気に、前走のフレッシュチャレンジでぶっちぎりの大差勝ちを収めているコパノハート(父コパノフウジン)。以下、ミラクルフラワー(父プリサイスエンド)、ハニープレッツェル(父スニッツェル)、フィーリンググー(父セイントアレックス)が10倍を切るオッズでつづき、どの馬にも初代女王となるチャンスがありそうな一戦となった。
ゲートが開き、最もスタートダッシュよく飛び出したのは5枠5番のコパノハート。外からホワイトラヴィーナ(父スターリングローズ)、内からミラクルフラワーも先頭に取り付き、この3頭が後続を引き離してレースを引っ張る。2馬身半ほど離れた4番手にマイファンファーレ(父スマートボーイ)以下が固まってつづき、1番人気のドンローズは後方2番手からまくりぎみに押し上げるが、先行集団との差はなかなか詰まらない。その隊列を保ったまま直線に入ると、そこからはコパノハートのひとり舞台。ひと追いごとに後続との差を広げ、門別の長い直線を気持ちよさそうに独走。終わってみれば8馬身差、勝ちタイム1分00秒1という圧巻の逃走劇だった。2着には7番人気のホワイトラヴィーナが粘り、3着に9番人気のジュエルクイーン(父キンシャサノキセキ)が追い込んで波乱の結果となったが、その配当以上にコパノハートの強さがインパクトを残す結果となった。
コパノハートは、父コパノフウジン、母コパノプレゼント、母の父サクラバクシンオーという血統。コパノフウジン産駒はこれが嬉しい重賞初勝利となり、オーナーの小林祥晃氏にしてみれば、この上ない歓喜の瞬間だったのではなかろうか。レース後、田中淳司調教師とがっちり握手を交わし、満面の笑顔で口取り写真に収まる姿が印象的だった。
デビュー戦の大差勝ち(2.3秒差)、重賞での8馬身差(1.6秒差)というコパノハートのレース内容を見る限り、小林祥晃氏の愛馬ラブミーチャン級の大物感が漂う。父コパノフウジン、母の父サクラバクシンオーともに短距離戦で活躍した馬だけに、距離が伸びてどうかという点は未知数だが、少なくともエーデルワイス賞までは堂々と主役を張っていけそうな逸材だ。楽しみな快速牝馬が、記念すべき第1回フルールカップから誕生した。
岩橋勇二騎手コメント
もともとスタートの上手な馬なのですが、今日も速かったですね。道中は息も入り、力まずに走ってくれました。強いメンバーが揃っていたので最後まで必死に追いましたが、しっかり反応して脚を伸ばしてくれました。こんなに強い馬に乗せていただき、記念すべき第1回のフルールカップに勝つことができて光栄です。
田中淳司調教師コメント
1戦目は素質だけで勝たせてもらいましたが、ここは目標にしていたので、ビッシリと仕上げて臨みました。3〜4コーナーの手応えから、直線ではどこまで突き放すだろうという感じで見ていました。血統的には短距離向きでしょうが、小回りならマイルもこなせると思うので、オーナーの思い入れが深い笠松の「ラブミーチャン記念」を勝ちたいですね。
取材・文:浜近英史(うまレター)
写真:NAR、浜近英史(うまレター)